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台風・豪雨・火災・盗難——もしものときに知っておきたい「雑損控除」

損害保険関連

2026年09月29日

台風・豪雨・火災・盗難——もしものときに知っておきたい「雑損控除」

台風や大雨、地震、火災など、自然災害や思わぬ事故によって、自宅や家財が被害を受けることがあります。

「家が壊れた」

「家電や家具が使えなくなった」

「片付けや修理にお金がかかった」

そんなとき、一定の条件を満たせば、所得税の負担を軽くできる制度があります。

それが「雑損控除」です。

あまり知られていない制度ですが、万一のときに家計を支える可能性があります。

雑損控除って、どんな制度?

雑損控除とは、災害や盗難、横領などによって、生活に必要な資産に損害を受けた場合に、一定額を所得から控除できる制度です。

対象となる代表的なケースは、

・台風、豪雨、地震などによる被害

・火災による被害

・落雷などによる被害

・害虫などによる異常な被害

・盗難による被害

・横領による被害

などです。

例えば、自宅や家具、家電など、日常生活に必要なものが被害を受けた場合には、雑損控除の対象になる可能性があります。

ただし、すべての損害が対象になるわけではありません。

「高価なもの」や「別荘」は対象外になることも

雑損控除の対象となるのは、基本的に生活に通常必要な資産です。

そのため、

・別荘

・趣味や娯楽のために所有している資産

・1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨董など

は、原則として対象になりません。

また、事業用の店舗や事業用固定資産などについては、雑損控除ではなく、事業所得などの計算上「必要経費」として扱う場合があります。

では、どのくらい税金が軽くなる?

ここが一番気になるところです。

雑損控除の金額は、一定の計算式によって算出され、次の2つの計算結果のうち、いずれか多い方が控除額になります。

①(損害金額+災害等関連支出-保険金など)

- 総所得金額等 × 10%

または、

②(災害関連支出-保険金など)-5万円

です。

少し難しく感じるかもしれません。

簡単に言えば、

「実際に受けた損害や、災害後の片付け・修理などにかかった費用から、保険金などで補填された金額を差し引き、一定の計算をした金額」

について、所得控除を受ける仕組みです。

つまり、被害額の全額がそのまま戻ってくる制度ではありません。

保険金を受け取ったらどうなる?

ここも重要なポイントです。

例えば、台風で自宅が被害を受け、修理費などが100万円かかったとします。

そのうち火災保険などから60万円の保険金を受け取った場合、基本的には、その補填された部分を除いて計算することになります。

だからこそ、

「保険金を受け取ったから税金の控除は関係ない」

とも、

「損害額の全額が雑損控除になる」

とも、一概には言えません。

実際の損害額、災害関連支出、保険金などを整理して計算する必要があります。

被害を受けたら「写真」を残しておこう

災害が起きた直後は、

「早く片付けなければ……」

と考えてしまいます。

しかし、雑損控除を利用する可能性があるなら、片付ける前に被害状況を写真や動画で残しておくことが大切です。

例えば、

・壊れた住宅や外壁

・水につかった家具や家電

・壊れた自動車

・浸水した室内

・落雷などによる損傷

など。

スマートフォンで撮影しておくだけでも、後から被害状況を確認する資料になります。

また、罹災証明書や盗難の場合の警察への届出など、状況に応じた書類も保管しておきましょう。

「特殊詐欺」は雑損控除の対象にならない

注意したいのが「盗難」と「詐欺」の違いです。

国税庁によると、盗難は雑損控除の対象になりますが、詐欺や恐喝による損失は、雑損控除の対象になりません。

例えば、

「オレオレ詐欺でお金をだまし取られた」

といったケースでは、雑損控除を利用することはできません。

同じ「お金を失った」という結果でも、原因によって税制上の扱いが変わるので注意が必要です。

シロアリ被害は?

意外に知られていないのが、害虫などによる被害です。

国税庁は、害虫などによる「異常な災害」も雑損控除の対象となり得るとしています。

ただし、

被害を防ぐための通常の予防費用まで、すべて雑損控除になるわけではありません。

実際に被害が発生したケースと、予防のための費用は分けて考える必要があります。

損害が大きい場合は、翌年以降に繰り越せることも

災害などによる損失が大きく、その年の所得から控除しきれない場合があります。

その場合、一定の条件のもとで、控除しきれなかった損失を翌年以後に繰り越して控除することができます。

原則として3年間、東日本大震災または2023年4月1日以後に発生した特定非常災害による一定の損失については5年間が繰越期間です。

大きな災害の場合には、一度の確定申告だけで終わらないケースもあるということです。

「災害減免法」という別の制度もある

さらに、災害によって住宅や家財に大きな損害を受けた場合には、雑損控除とは別に「災害減免法による所得税の軽減・免除」を利用できる場合があります。

その年の所得金額が1,000万円以下など、一定の条件があります。

雑損控除と災害減免法の両方の条件を満たす場合には、納税者が有利な方を選択することができます。

もしものときに慌てないために

災害は、いつ起こるか分かりません。

だからこそ、普段から

□ 火災保険・地震保険の補償内容を確認しておく

□ 保険証券や契約内容を保管しておく

□ 自宅や家財の被害状況を写真で記録できるようにしておく

□ 災害後の修理・撤去・片付け費用の領収書を保管する

□ 保険金を受け取った場合は、その金額が分かる書類を残す

□ 被害を受けた場合は、早めに税務署や税理士へ相談する

こうした準備をしておくだけでも、いざというときの負担を減らせます。

「知らなかった」ではなく、「知っていた」で備える

災害に遭わないことが一番です。

しかし、台風、大雨、地震、火災、盗難など、私たちの生活にはさまざまなリスクがあります。

被害を完全になくすことはできなくても、

「被害を受けたら、どんな制度を利用できるのか」

を知っておくことはできます。

保険で備える。

防災で備える。

そして、税制上の制度も知っておく。

万一のときに家計を守るためには、こうした「知識による備え」も大切なのではないでしょうか。

※雑損控除は個々の被害状況や所得、保険金等によって適用関係や控除額が異なります。実際に申告する際は、国税庁の最新情報や税務署、税理士等にご確認ください。

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