2026年08月29日
「相続税は、資産家だけの話」
そう思っている方も多いかもしれません。
しかし、住宅価格が大きく上昇している現在、これまで「普通の家庭」だと思っていた世帯でも、相続税を意識しておく必要が出てきています。
特に最近、気になるのが自宅の価格上昇です。
例えば、購入した当時は、
「自分たちが住むための普通のマンション」
「将来売って大きな利益が出るとは考えていなかった」
という住宅でも、周辺の不動産価格が上昇したことで、現在では購入時とは比較にならないほど高い価格で取引されているケースがあります。
「買ったときは、そんなに高いマンションではなかったのに、今の相場を見るとかなりの金額になっている……」
そんな方もいるのではないでしょうか。
2億円、3億円といった超高額物件だけが問題なのではありません。
購入時には意識していなかった自宅の資産価値が、いつの間にか大きく膨らんでいる。
これも、これからの相続を考えるうえで重要なポイントです。
相続税は、預貯金や株式などの金融資産だけにかかるものではありません。
土地や建物も相続財産です。
国税庁によれば、相続などによって取得した財産の価額から債務や葬式費用などを差し引いた「正味の遺産額」が基礎控除額を超える場合に、相続税の課税対象となります。
つまり、
「現金はそれほど持っていないから、相続税は関係ない」
とは限りません。
例えば、20年前、10年前に購入した自宅の価格が大きく上昇していれば、その不動産も相続財産として考える必要があります。
ここで注意したいのは、
「今なら2億円で売れるから、相続税も2億円に対してかかる」
という単純な話ではないことです。
相続税では、不動産を一定のルールに基づいて評価します。
したがって、購入価格や実際の売却価格と、相続税を計算する際の評価額は必ずしも同じではありません。
ここは、ぜひ一度考えてみてください。
例えば、
10年前に5,000万円で購入したマンション。
当時は、
「自分たちが住むための住宅」
という認識だったとします。
ところが、その後、周辺の再開発や住宅需要などによって不動産価格が上昇。
現在の市場価格を見ると、8,000万円、1億円近い価格になっている。
このようなケースでは、
「自分たちは資産家ではない」
と思っていても、家族が保有する資産全体を一度確認する必要があります。
もちろん、実際の相続税評価額は市場価格そのものではありません。
また、住宅ローンなどの債務が残っていれば、それも相続財産から差し引くことができます。
さらに、一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例」などが適用できる場合もあります。
したがって、
「自宅が1億円になった=必ず多額の相続税がかかる」
ということではありません。
しかし、
「自宅の価値が大きく上昇しているのに、相続について何も確認していない」
という状態は、一度見直しておいた方がよいでしょう。
住宅価格の上昇は、特に都心部で顕著です。
2026年7月に東京23区で販売された新築マンションの平均価格は2億6,520万円となり、過去最高を更新しました。
もちろん、これは高額物件の供給が平均価格を押し上げている面もあり、「23区のマンションがすべて2億円」という意味ではありません。
しかし、
「住宅そのものが非常に大きな資産になる時代」
になっていることは間違いありません。
そして、この問題は「これから2億円のマンションを買う人」だけの話ではありません。
すでに購入している人にも関係します。
自宅は、投資目的で購入したものではありません。
毎日暮らす場所であり、子どもを育てる場所です。
そのため、
「これは資産運用ではなく、ただのマイホーム」
と考えてしまいがちです。
しかし、相続という視点から見ると、自宅も大切な財産です。
特に、
購入時よりも大幅に価格が上昇している住宅
を所有している場合は、
「現在、この家はどの程度の価値があるのか」
「相続税を考えた場合、どのように評価されるのか」
「住宅ローンはどのくらい残っているのか」
などを、一度整理してみることをおすすめします。
相続税を考えるときに重要なのは、単純に「家が高い」ということだけではありません。
例えば、
などを含めて、相続財産全体を考える必要があります。
さらに、誰が相続するのかによっても税額は変わります。
配偶者がいるのか。
子どもは何人いるのか。
自宅を誰が引き継ぐのか。
こうした条件によっても、相続税の計算は変わります。
だからこそ、
「家が高くなったから、相続税が大変だ」
と決めつけるのではなく、まずは家族の資産全体を確認することが大切です。
相続で意外に大きな問題になるのが、
「財産はあるのに、納税する現金が足りない」
というケースです。
例えば、相続財産の大部分が自宅だったとします。
自宅を売却すれば資金を作れるかもしれません。
しかし、そこには長年家族が暮らしている。
「相続税を払うために、子どもが育った家を売らなければならない」
という事態は、できれば避けたいものです。
だからこそ、
「相続税がいくらになるのか」
だけではなく、
「相続税を、何のお金で支払うのか」
まで考えておく必要があります。
子育て世帯の場合、
「教育費」
「住宅ローン」
「日々の生活費」
に目が向きがちです。
しかし、もし親世代が、
などを保有しているのであれば、
将来、それを自分たちが相続する可能性があります。
つまり、
「自分たちが今持っている資産」
だけではなく、
「将来、親から受け継ぐ可能性のある資産」
についても、一度考えておくことが大切です。
いきなり相続税対策の商品を探す必要はありません。
まずは、家族が所有している財産を整理してみましょう。
例えば、
この5つを確認するだけでも、家族のお金の全体像が見えてきます。
そのうえで、
「実際に相続税が発生する可能性があるのか」
を税理士などの専門家に確認する。
これが基本的な流れです。
相続税対策というと、
「どうすれば税金を安くできるのか」
ばかりに目が向きがちです。
しかし、本来の目的は、
税金を減らすことだけではありません。
家族が困らないように財産を整理し、
誰に、何を、どのように残すのか。
そして、
必要な税金を、どのように支払うのか。
ここまで考えておくことが重要です。
住宅価格の上昇は、住宅を購入した人にとっては、必ずしも悪いことではありません。
資産価値が上がることは、将来の選択肢を広げることにもつながります。
一方で、
「購入したときには考えてもいなかったほど、資産価値が上昇している」
のであれば、その資産を将来どう引き継ぐのかについても、考える必要があります。
特に、
「購入時は5,000万円程度だった」
「今では8,000万円、1億円近い価値になっている」
というようなご家庭では、
「うちは普通の家庭だから、相続税は関係ない」
と決めつけず、一度確認してみる価値があります。
子育て世帯のお金の問題は、教育費や住宅ローンだけではありません。
これからは、
教育資金
住宅資金
老後資金
そして、
相続・資産承継
まで含めて、家族のお金を考えていくことが大切です。
「うちはまだ相続なんて関係ない」
と思っている方も、まずは、
「今、自分たちの家族にはどのくらいの資産があるのか?」
そして、
「もし今、相続が発生したら、家族はどうなるのか?」
を一度確認してみてはいかがでしょうか。
相続対策は、税金を安くするためだけのものではありません。
大切な家族に、できるだけ困らない形で財産を引き継ぐための準備です。
子どもの未来を考えることは、家族が築いてきた財産の未来を考えることでもあります。
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宮本新治
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