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確定申告で気になる「医療費控除」について

マネー教育関連

2025年12月10日

今年も残り3週間程度となりました!”確定申告が気になる季節”ですよね。

今回は、子育て世帯こそ知っておきたい「医療費控除」について確認していきます。


■ 医療費控除とは?

医療費控除は、1年間に支払った医療費の合計が10万円
(※所得が200万円未満の方は所得の5%)を超えたときに受けられる、所得税と住民税の所得控除です。

家族が多いと病院代・薬代・通院費が重なりやすいので、子育て世帯にとっては特に活用価値の高い制度です。

医療費は、同じ家計で生活している家族分をまとめて申告できます。
ここでいう「生計を一にする家族」とは、お財布を一緒にしている家族のこと。別居していても、生活費の負担や生活実態があれば生計一とみなされます(所得税基本通達2-47)。

扶養に入っているかどうかは関係ないため、たとえば収入のある妻や、両親の医療費をあなたが支払った場合でも控除できます。

また、医療費を補てんする保険金(入院給付金、高額療養費、出産育児一時金など)がある場合は、その金額を医療費から差し引きます。ただし、補てん金額が対象となる医療費を上回っても、その余りをほかの医療費から引く必要はありません。

なお、医療費控除は所得控除のため、家族の中で所得が多く税率の高い人が申告したほうが節税効果が大きくなります。


■ 控除になる?ならない? よくある質問

● ドラッグストアで買った市販薬

風邪薬、解熱剤、胃腸薬、湿布、アレルギー薬など、治療のためであれば広く認められます。

● 通院の交通費

基本は公共交通機関のみ。
やむを得ない事情があればタクシーもOK。
子どもの付き添いが必要な場合は、付き添いの交通費も対象です。
ただし、マイカーのガソリン代や駐車場代は対象外です。

● マッサージ・はり・きゅう

治療目的で、有資格者による施術であれば対象です(所得税法施行令207条)。
リラクゼーション目的はNG。

● 差額ベッド代

本人の希望での個室利用は対象外。
ただし、病状などによって必要な場合は認められることがありますので、ケースごとに専門家へ相談を。

● 高額な歯科治療・近視矯正

保険診療だけでなく一般的な自由診療も対象です。
例:インプラント、子どもの歯列矯正、レーシック、オルソケラトロジー など
ただし、美容目的の治療費は対象外。

クレジットカードで支払った場合は、病院でカード決済した日が支払日として扱われます。年をまたぐ時期はご注意ください。

● 健康診断・人間ドック

原則対象外ですが、重大な疾患が見つかり、そのまま治療に移行した場合などは控除対象にできます。

● 入院費

治療に必要な部屋代・食事代・医療器具の購入やレンタル料・付添人費用などはOK。
日用品や差し入れ、付添人への謝礼は対象外です。

● 不妊治療・人工授精

対象です。ただし、自治体の助成金がある場合は、その分を差し引きます。

● 亡くなった家族の医療費

故人自身の準確定申告では控除できません。
生計を一にしていた家族が支払った場合、その家族の確定申告で控除可能。
また、相続税で債務控除できる場合もあります。


■ 申告時の注意点

医療費控除は年末調整ではできません。必ず確定申告が必要です。

医療費控除をすると、
・ふるさと納税のワンストップ特例
・年金受給者の確定申告不要制度
は利用できなくなるため、ご注意ください。

確定申告期間は 2/16~3/15
還付申告(お金が戻るケース)は 1/1から5年間提出可能です。
(2025年分は2030年12月31日まで)

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