2026年09月03日
「どうして言うことを聞いてくれないの?」子どものしつけ・発達・関わり方に悩むお父さん、お母さんへ
「何度言っても言うことを聞かない……」 「どうしてうちの子だけ、こんなに大変なんだろう?」 「毎日叱ってばかりになってしまう……」
子育てをしていると、こんな悩みを感じることはありませんか?
子どもには、元気に、素直に、思いやりのある子に育ってほしい。 だからこそ、親として「ちゃんとしつけなければ」と日々頑張っています。
ところが、何度言っても同じことを繰り返されたり、外出先で突然泣き出したり、兄弟喧嘩が始まったりすると、親もついイライラしてしまいます。
そして、 「こんなに怒ってしまう自分は、親として失格なのでは……」 と、自分を責めてしまうこともあります。
でも、まず知っておいていただきたいのは、子育てに悩むこと自体は、決して珍しいことでも、あなたがダメな親だからでもないということです。
■ 「言うことを聞かない=わがまま」とは限らない
こども家庭庁の資料などでも、「言うことを聞かない」ように見える子どもの行動には、さまざまな理由があるとしています。
例えば、
親に自分の気持ちを分かってほしい
子どもなりに主張や考えがある
大人から言われている内容を理解できていない
眠い、疲れている、お腹が空いている
自分の気持ちをうまく言葉にできない
年齢的に、まだ感情をコントロールすることが難しい
親から見ると「言うことを聞かない子」に見えても、子どもの側からすると、 「分かってもらえない」「うまく伝えられない」「まだ感情を処理できない」という状態なのかもしれません。
そう考えると、子どもの行動に対する見方が少し変わってくるのではないでしょうか。
■ 「叱る前に、気持ちを受け止める」という工夫
例えば、お菓子売り場で「これ買って!」と子どもが泣き出したとします。 親としては思わず「ダメって言ってるでしょ!」と言いたくなる場面です。
もちろん、買わないという家庭のルールを守らせることは大切です。 しかし、ここでいきなり怒るのではなく、
「欲しかったんだね」「買いたかったよね」と、まず気持ちを受け止める
そのうえで「でも、今日は買わないよ」とルールを伝える
この順番を意識するだけで、子どもとのコミュニケーションは大きく変わります。
こども家庭庁でも、子どもの言葉や行動の奥にある気持ちに耳を傾け、どうしたらよいかを一緒に考えることを「体罰等によらない子育ての工夫」として紹介しています。
「気持ちを受け止めること」と「要求を何でも受け入れること(甘やかすこと)」は違います。 ここは子育てをする上でとても大切なポイントです。
■ 「叱らない子育て」が正解とは限らない
「子どもは褒めて育てる」という言葉をよく耳にします。 確かに、子どもの良い行動を具体的に認めることは非常に効果的です。
単に「片付けて偉いね」と褒めるだけでなく、「自分からおもちゃを片付けられたね」と何が良かったのかを具体的に伝えることで、子どもは「自分の行動を見てもらえている」という安心感を得られます。
一方で、危険なことをしたときや、他人を傷つけるような行動をしたときには、大人が毅然と止める必要があります。
大切なのは、
「叱らないこと」ではなく「どう叱るか(伝えるか)」
「子ども自身を否定する」のではなく「その行動について伝える」
ということです。
■ 「叩いて言うことを聞かせる」は、しつけではない
ここは非常に重要なポイントです。現在、日本では法改正により、子どものしつけのための体罰は禁止されています。
「言うことを聞かなかったから叩いた」
「危ないことをしたから手を叩いた」
「何度言っても分からないから叩いた」
たとえ親が「しつけのため」と考えていても、子どもの身体に苦痛を与える行為はすべて体罰にあたります。また、激しい暴言や著しく拒絶するような言葉も、子どもの心を深く傷つけます。
「絶対にイライラしてはいけない」ということではありません。親だって人間ですから、感情が高ぶることもあります。 大切なのは、「感情にまかせて傷つけること」と「社会のルールを教えること」は別物であると理解しておくことです。
■ 子どもの発達には大きめの「個人差」がある
同じ年齢の子どもでも、成長のスピードは一人ひとり異なります。
言葉が出始めるのが早い子・ゆっくりな子
落ち着いて過ごせる子・じっとしているのが苦手な子
人との関わりが得意な子・一人遊びが好きな子
こども家庭庁の指針でも、年齢だけでなく成長・発達の状況によって「できること」と「できないこと」が異なる点や、個人差が大きいことが示されています。
「同じ年齢なのに、あの子はできるのに……」と他の子と比較しすぎないことが大切です。
ただし、発達について気になることが続く場合は、「いつかできるようになる」と一人で抱え込む必要もありません。 文部科学省等でも示されているように、不安な場合は自治体の保健師、保育園・幼稚園の先生、発達相談窓口などに早めに相談してみることも一つの安心につながります。
■ 「親が頑張りすぎない」ことも立派な子育て
子育てをしていると、「良い親にならなければ」と肩に力が入ってしまうことがあります。
食事は手作りでバランスよく作らなければ
勉強もきちんと言い聞かせて見なければ
いつも優しく話を聞いてあげなければ
仕事をしながら、家事をしながら、これを毎日完璧にこなすのは不可能です。
だからこそ、「今日は余裕がないな」と感じたら、手抜きをして完璧を目指さない日があって構いません。
子どもにとって必要なのは、毎日完璧な親ではなく、安心して戻ってこられる家庭と、「自分は大切にされている」と感じられる関係です。それが子どもの成長を支える一番大きな土台になります。
■ 子育ての悩みを「家庭だけの問題」にしない
しつけや発達について悩んだとき、「自分たちの育て方が悪いのでは?」と自分たちを追い詰める必要はありません。
保育園・幼稚園、学校、自治体の相談窓口、保健センター、医療機関など、頼れる場所はたくさんあります。 「こんなことで相談していいのかな?」と思うような小さなモヤモヤでも、第三者に話すことで気持ちが軽くなり、新たな視点が見えてくることがあります。
子育てに「100点満点の正解」はありません
子どもの性格も、家庭環境も、親の状況も、一つとして同じものはありません。 そのため、「これさえやれば絶対にうまくいく」という万能な子育てノウハウは存在しません。
大切なのは、
「この子は今、何を感じているのだろう?」と子どもの心に視点を向けること
「自分は今、何に困っているのだろう?」と親自身の SOS に気づいてあげること
子育ては、子どもだけが一方的に成長するものではなく、親も子どもと一緒に少しずつ迷いながら成長していくプロセスです。
「完璧に育てなければ」と気負うよりも、「今日、子どもと一回笑い合えた」そんな日を一日ずつ重ねていく。それだけで、十分に立派な子育てです。
※本記事は2026年9月時点の公的資料等を参考に作成しています。子どもの発達や行動について具体的な心配がある場合は、自治体の相談窓口、保健師、保育・教育機関、医療機関等にご相談ください。
子どもと家族の未来を考える会®
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