2026年08月16日
住宅ローンを組んでマイホームを購入した。
子どもが生まれ、これから教育費もかかる。
食費、光熱費、保険、車、教育費……。
子育て世帯にとって、住宅ローンは毎月の家計の中でも大きな固定費です。
だからこそ、住宅ローンを抱えている家庭ほど、
「お金をどう運用するか」だけではなく、「家計全体をどう分散するか」
という視点が重要になります。
最近は、日本銀行の利上げによって住宅ローン金利も上昇しています。
2026年6月には、日本銀行の政策金利は1.0%程度となりました。今後についても、経済・物価・金融情勢を見ながら、追加の政策調整を検討する方針が示されています。
そのため、
「変動金利は危ないのでは?」
と不安になる方も少なくありません。
しかし、ここで大切なのは、
「政策金利が上がること」と「住宅ローンの変動金利が3%になること」は、同じ話ではない
ということです。
住宅ローンの金利は、金融機関の貸出金利や市場環境など、さまざまな要因によって決まります。
また、住宅金融支援機構の2026年1月調査では、変動金利で住宅ローンを返済している人の約8割が「今後5年程度で金利が上昇する可能性がある」と考えている一方、具体的な上昇幅では「現在より+0.5%まで」と考える人が最も多くなっています。
もちろん、将来の金利を誰も正確に予測することはできません。
だからこそ、
「変動金利だから危険」ではなく、「金利が上昇しても耐えられる家計になっているか」
を見ることが重要なのです。
私は、住宅ローンについては、現在の日本の経済・金融環境を考えると、最初から期間固定を選ぶことだけが正解だとは考えていません。
むしろ、
変動金利を選択し、その代わりに家計の余力を確保し、資産・保障・預貯金などを分散させる。
そんな考え方も十分検討する価値があると思います。
ただし、将来の金利が3%にならないと断定することはできません。
重要なのは「金利を当てること」ではなく、金利が上がっても困らない家計をつくることです。
ここも非常に重要です。
住宅金融支援機構などでは、住宅ローンを含む「総返済負担率」について、年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下という審査基準があります。
しかし、
「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」は違います。
特に子育て世帯の場合、住宅ローン以外にも、
・教育費
・食費
・車の維持費
・保険料
・固定資産税
・修繕費
・将来の大学進学費用
・老後資金
などがあります。
そのため、子育て世帯の家計を考える際には、私は一つの目安として、住宅ローンの年間返済額を、世帯年収の25%程度以下
を意識することをおすすめします。
もちろん、これは法律上の基準でも、すべての家庭に当てはまる絶対的な数字でもありません。
子どもの人数、年齢、共働きかどうか、車の台数、教育方針、貯蓄額などによって適正額は変わります。
だからこそ、
「年収からいくら借りられるか」ではなく、「子どもが成長しても無理なく返せるか」で考えることが大切です。
住宅ローンを考えるとき、金利ばかりに目が行きがちです。
しかし、子育て世帯にとって本当に大きなリスクは、
「世帯主に万一のことがあった場合」
ではないでしょうか。
住宅ローンには、多くの場合、団体信用生命保険という仕組みがあります。
万一の場合に住宅ローンの残高が保障される仕組みを利用できれば、残された家族の住宅費負担を大きく軽減できます。
しかし、
住宅ローンがなくなれば、家族のお金の問題がすべて解決するわけではありません。
子どもの教育費。
毎日の生活費。
車。
税金。
将来の大学進学。
そして、残された配偶者の生活。
住宅ローンとは別に、
「家族が生活を続けるためのお金」
を考えておく必要があります。
だからこそ、子育て世帯では資産運用だけでなく、
「保障」という資産形成とは別の役割を持つお金を準備しておくことが重要です。
資産形成を考えるうえで、NISAは非常に魅力的な制度です。
金融庁も、資産形成において「長期・積立・分散投資」を基本的な考え方として示しています。
NISAを利用して、長期・積立・分散で資産を育てていく。
これは子育て世帯にとっても重要な選択肢です。
ただし、NISAで購入する株式や投資信託には、元本割れの可能性があります。
そして、NISAには基本的に、
「大きな保障を同時に準備する」
という役割はありません。
そこで考えたいのが、「運用」と「保障」を一つの仕組みの中で組み合わせる方法です。
例えば、長期的な運用成果を期待しながら、万一の際には大きな保障を準備できるタイプの保険があります。
もちろん、こうした商品にも価格変動リスクや手数料などがあり、「元本保証」ではありません。
しかし、
「資産を増やす」だけではなく、「家族を守る」という機能も同時に持たせる
という考え方は、子育て世帯にとって検討する価値があります。
一方で、すべてのお金を運用に回してしまうのも危険です。
突然の病気。
転職。
車の買い替え。
住宅の修繕。
子どもの進学。
こうした場面では、すぐに使えるお金が必要になります。
そこで、
「元本保証を重視するお金」も必要になります。
長期の資産形成については、
・NISAなどによる長期・積立・分散投資・保障と運用を組み合わせた金融商品
・流動性(いつでも引き出せる)を重視した預貯金等(余裕資金) ※ただし、現金保有率を一定以上あげない
・円建て元本保証あり、値上がり益確保機能付き資産運用重視年金商品 ※国内、一社のみ提供(2026年8月現在)
など、異なる特徴を持つ金融商品を組み合わせることが重要になります。
金融庁も、安全性・収益性・流動性の3つをすべて満たす金融商品はないとしており、それぞれの目的に応じて金融商品を使い分けることを示しています。
つまり、
「どの商品が一番儲かるか?」ではなく、
「家族のお金を、どの役割に振り分けるか?」
という発想です。
私たちが考える、子育て世帯のお金の優先順位は、次のようなものです。
目安として、住宅ローン返済額は世帯年収の25%程度以下を意識する。
「住宅ローンがなくなる」だけではなく、残された家族の生活費・教育費まで考える。
すぐに必要になるお金は、価格変動の大きな資産に偏らせない。
大きな保障を確保しながら、長期的な運用成果も期待できるタイプの商品を活用する。
すべてを投資に回すのではなく、流動性のある守るお金と増やすお金を分ける。
運用商品の中には、運用成果を一定条件で確保していく機能を持つものもあります。
NISAなどを活用し、長期・積立・分散を基本に資産形成を行う。
子育て世帯のお金で大切なのは、
一つの商品に集中することではありません。
住宅ローンには住宅ローンの役割があります。
保険には保障の役割があります。
NISAには長期資産形成の役割があります。
預貯金には生活防衛資金としての役割があります。
そして、運用商品には、それぞれ異なるリスクとリターンがあります。
つまり、
「家計そのものを分散投資する」
という考え方です。
住宅ローンの金利が上がるかもしれない。
株価が下がるかもしれない。
円高になるかもしれない。
円安になるかもしれない。
何が起こるかを完全に予測することはできません。
だからこそ、
「未来を当てる」のではなく、「未来が外れても家族を守れる家計」をつくる。
これが、子育て世帯の資産形成では大切なのではないでしょうか。
住宅ローン、保険、NISA、預貯金、運用商品。
一つひとつを別々に考えると、何を優先すればいいのか分からなくなります。
しかし、
「住宅ローン」
「万一の保障」
「生活防衛資金」
「長期資産形成」
「守る資産」
「増やす資産」
という順番で整理すると、ご家庭のお金の全体像が見えてきます。
「我が家の場合、住宅ローンは大丈夫なのか?」
「保障は足りているのか?」
「NISAはいくらから始めればいいのか?」
「運用に回してよいお金はいくらなのか?」
「守るお金と増やすお金をどう分ければいいのか?」
こうしたことは、家庭によって答えが違います。
子どもと家族の未来を考える会®認定講師では、ご家庭の収入、住宅ローン、家族構成、教育資金、保障、現在の資産などを整理しながら、
「増やすこと」だけではなく、
「守ること」と「残すこと」まで含めた家計全体のバランス
を一緒に考えることを大切にしています。
大切なのは、何か一つの商品を選ぶことではありません。
家族の未来から逆算して、「お金の役割分担」を決めること。
住宅ローンを抱えた今だからこそ、一度、ご家庭のお金全体を見直してみてはいかがでしょうか。
2026年8月16日
宮本新治